令和6年度 高知赤十字病院 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 561 191 242 305 451 746 1198 2210 1761 728
【定義】
 令和6年度(令和6年6月1日~令和7年5月31日)に一般病棟を退院した患者数です。年齢は入院時の満年齢です。
【解説】
 当院は、地域医療支援病院及び救命救急センターを併設しており、主として紹介患者や救急患者を受け入れ、高度医療を提供しています。
 退院患者数は、前年と比べ811人(9.6%)減少、年齢別構成は前年度と同様の傾向を示しており、60歳以上の占める割合は70.2%となっています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 192 9.16 8.88 11.98% 78.98歳 ERCP・EST
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 155 20.55 20.78 55.48% 84.63歳 誤嚥性肺炎
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 144 19.98 16.40 31.94% 84.82歳 細菌性肺炎
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 97 15.96 13.66 27.84% 79.58歳 尿路感染症
180010x0xxx0xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2なし 97 19.20 20.06 25.77% 78.87歳
【定義】
 各診療科別に患者数の多いDPC14桁分類について、DPCコード、DPC名称、患者数、当院の平均在院日数、全国の平均在院日数、転院率、平均年齢を掲載しています。(10件未満は非表示としています。)
【解説】
 当院の内科は、総合内科、血液内科、糖尿病・腎臓内科、循環器内科、呼吸器内科、消化器内科と複数の専門科で構成されており、指標の上位5疾患以外にも様々な疾患を取り扱っております。
 内科の患者数は全症例の43.2%を占めておりますが、最も多い症例は、胆管結石・胆管炎で、内視鏡を用いて乳頭切開術やステント留置術などの治療を行っております。以下、2位が誤嚥性肺炎、3位が肺炎(75歳以上)、4位が腎臓又は尿路の感染症。5位が敗血症と続きます。内科症例の約半数は救急医療入院を必要とされた症例となっています。(49.7%が救急医療入院)
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 171 2.96 6.11 0.58% 0.00歳 早産児
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 手術・処置等1あり 46 1.00 2.10 0.00% 3.78歳 小児食物負荷試験
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 43 4.56 6.22 0.00% 1.26歳 小児細気管支炎
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2なし 28 6.04 11.83 0.00% 0.00歳 早産児
0400801199x0xx 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2なし 20 4.45 5.61 0.00% 5.95歳 小児気管支炎・肺炎
【解説】
 当院では、産婦人科と連携しながら新生児・未熟児に対する治療を行っています。新生児以外の疾患については、地域の医療機関からの受入れを積極的に行っています。令和6年度は、産婦人科医師の退職に伴い分娩件数が前年度実績の半数以下となったことにより、小児科で取り扱う新生児症例件数も減少しています。そのため、前年度は上位5疾患中、1,2位は新生児関連疾患でしたが、令和6年度は、1位は前年度同様、2位が「食物アレルギー」、3位「急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症」と新生児以外の疾患となっています。 
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1なし 76 10.71 9.77 0.00% 66.25歳 乳房部分切除術
060335xx0200xx 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 71 6.42 7.05 7.04% 66.13歳 腹腔鏡下胆嚢摘出術
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 62 4.35 4.54 3.23% 71.05歳 腹腔鏡下ソケイヘルニア修復術
040040xx02x0xx 肺の悪性腫瘍 肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの等 手術・処置等2なし 44 8.82 9.82 0.00% 69.39歳 肺切除術
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 33 10.45 18.48 18.18% 72.21歳 腹腔鏡下幽門側胃切除術
【解説】
 当院の外科は、消化器外科、呼吸器外科、乳腺・内分泌外科及び救急医療等幅広い疾患を取り扱っています。令和6年度は1位~5位までを手術症例が占めており、その中でも1位の乳房、4位の肺、5位の胃はいずれも悪性腫瘍に対する手術症例となっています。
 平均在院日数については、乳房以外は全て全国平均より早く退院となっています。特に胃については全国平均より大幅に早く退院できております。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx02xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 227 22.04 25.29 92.51% 84.49歳 (BHP)大腿骨人工骨頭挿入術
大腿骨骨接合術
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 78 19.76 21.38 69.23% 76.24歳 (TKA)人工膝関節全置換術
160760xx01xxxx 前腕の骨折 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨等 56 7.16 5.95 23.21% 69.30歳
070343xx01x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等2なし 55 17.69 19.60 52.73% 70.65歳 腰椎椎弓切除術
腰椎後方固定術
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 55 20.38 18.76 69.09% 71.38歳 (THA)人工股関節全置換術
【解説】
 整形外科では、救命救急センターの使命である急性期疾患はもちろん、専門性の高い脊椎や関節などの慢性疾患についても、整形外科全般にわたり対応しています。特に地域連携を大切に考えています。
 上位5症例のうち3症例が外傷で、1位の大腿骨骨折の手術症例は、地域連携診療計画書(連携パス)を活用し、早期からの転院調整を行うことによって在院日数は全国平均より3日ほと短く、転院先でのリハビリテーション治療を継続して行っています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 手術あり 手術・処置等1なし 17 3.82 4.65 0.00% 42.71歳
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2なし 15 3.00 2.74 0.00% 67.47歳
160200xx020xxx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 眼窩骨折観血的手術(眼窩ブローアウト骨折手術を含む。)等 手術・処置等1なし 12 7.00 5.98 0.00% 45.33歳
180060xx97xxxx その他の新生物 手術あり 12 4.33 5.63 0.00% 33.67歳
090010xx97x0xx 乳房の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 11 4.82 6.48 0.00% 58.36歳
【解説】
 形成外科では、骨軟部の良性腫瘍、眼瞼下垂、顔面損傷、その他の新生物、乳房の悪性腫瘍が取り扱い数の上位疾患となっています。救命救急センターや整形外科と連携し、顔面骨骨折、広範囲熱傷、重度四肢外傷等を積極的に受け入れています。糖尿病足病変、腋臭症、膿皮症、皮膚の悪性腫瘍も多く扱っています。また乳房再建、頭頸部再建等、他科の悪性腫瘍切除後の再建手術も当科が担当しています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060xx99x40x 脳梗塞 手術なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 62 12.69 16.89 56.45% 75.05歳 非心原性脳梗塞
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 32 17.44 18.68 75.00% 72.22歳
010060xx02x40x 脳梗塞 経皮的脳血管形成術等 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 30 21.17 23.71 76.67% 82.47歳
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 29 9.31 9.83 27.59% 72.21歳 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) 手術なし 手術・処置等2なし 23 21.09 22.21 86.96% 76.87歳
【解説】
 救命救急センターである当院では、一般社団法人日本脳卒中学会認定「一次脳卒中センター」の認定を取得し、原則、24時間、365日脳卒中患者を受け入れ治療を開始しております。
 脳神経外科では、1位、3位が脳梗塞、2位、5位が脳内出血、4位が頭蓋・頭蓋内損傷となっています。
 脳神経外科専門医が院外にいても、タブレット型端末を使い放射線画像を参照することができる診療支援システムを導入しており、早期診断や、早期の治療開始に効果を発揮しています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2なし - - 10.18 - - ステントグラフト内挿術(EVAR)
050163xx9910xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし - - 4.39 - -
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 手術・処置等21あり - - 27.01 - -
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし - - 5.15 - -
050163xx02x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等 手術・処置等2なし - - 15.93 - - 腹部大動脈瘤人工血管置換術
【解説】
 令和6年度の対象期間においては、全体として入院患者数が少なくなっていました。内訳としては、腹部及び胸部の大動脈瘤症例の割合が多くなり、冠動脈疾患や弁膜症が減少していました。末梢血管疾患については、概ね前年と同様の症例数となっており、多くは血管内治療が施行されていました。(10件未満は非表示としています。)
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 45 7.84 9.40 0.00% 32.67歳 帝王切開術
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 35 5.03 5.97 0.00% 43.63歳 婦人科腹腔鏡手術
12002xxx02xxxx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 28 3.04 2.92 0.00% 42.00歳 婦人科開腹術
120170x199xxxx 早産、切迫早産(妊娠週数34週未満) 手術なし 28 15.96 19.47 14.29% 31.82歳
120200xx99x0xx 妊娠中の糖尿病 手術なし 手術・処置等2なし 25 2.68 4.06 0.00% 33.28歳
【解説】
 令和6年度は産婦人科医師の退職に伴い、分娩件数が前年度実績の半数以下、また、その他の症例数も全体的に減少しています。(自然分娩はDPC除外のため上記症例には含まれていません。)
 症例の1位は「胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等」で、2位が「卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む)腹腔鏡下によるもの等」、3位以降は「子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等」、「早産、切迫早産(妊娠週数34週未満)手術なし」、「妊娠中の糖尿病 手術なし 手術・処置等2なし」となっています。
 悪性腫瘍については、ガイドラインに基づいた集学的治療を行っています。また、良性疾患(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫など)で手術が必要と判断された場合には、身体への負担が少ない腹腔鏡下手術を第一選択にしています。入院期間が短く、早い社会復帰が可能で、1センチ前後の傷が2、3か所残るだけで済み、美容的にも優れています。
 平均在院日数は概ね全国平均よりも短くなっています。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 91 4.42 4.67 0.00% 65.84歳
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 57 7.39 5.84 0.00% 55.00歳 全麻内視鏡下鼻内手術
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 56 5.14 5.63 0.00% 41.79歳
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 51 7.75 7.35 0.00% 24.82歳 両口蓋扁桃摘出術
030428xxxxx0xx 突発性難聴 手術・処置等2なし 38 9.29 8.21 2.63% 63.37歳 突発性難聴
【解説】
 耳鼻咽喉科では、前庭機能障害(末梢性めまい症)、慢性副鼻腔炎、扁桃周囲膿瘍・急性扁桃炎・急性咽頭喉頭炎、扁桃・アデノイドの慢性疾患、突発性難聴を多く治療しています。さらに、耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍、頭頸部悪性腫瘍、顔面神経障害、声帯疾患、鼻出血患者などに対して入院治療を行っています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 78 2.09 2.45 0.00% 70.94歳 前立腺生検
11012xxx97xx0x 上部尿路疾患 その他の手術あり 定義副傷病なし 48 4.35 7.30 31.25% 81.27歳 尿管ステント留置術
110420xx02xxxx 水腎症等 経尿道的尿管ステント留置術等 28 3.75 4.07 0.00% 71.93歳 尿管ステント留置術
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 定義副傷病なし 25 5.20 5.16 4.00% 64.28歳 経尿道的尿路結石除去術
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2なし 22 9.82 6.81 9.09% 77.27歳 経尿道的膀胱腫瘍切除術
【解説】
 令和6年度、1位から3位までは昨年度同様で、1位が前立腺がんの診断目的で行う生検症例、2位上部尿路疾患手術あり、3位水腎症等 経尿道的尿管ステント留置術等の症例となっています。4位は上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術の症例で、昨年度4位だった膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術の症例は5位となっています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 105 15 14 19 - - 1 8
大腸癌 32 35 33 26 - 12 1 8
乳癌 55 71 - - - 16 1 8
肺癌 38 10 29 58 - 84 1 8
肝癌 - 18 10 - - 12 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【定義】
 5大癌について、初発患者はUICCのTNMから示される病期分類による患者数を、再発患者は期間内の患者数を掲載しています。
※UICC TNM分類とは、がんの進行度を判定する基準として国際的に活用されている国際対がん連合(UICC)採用のがんの分類方法です。28の部位ごとに各種の検査結果から原発がんの大きさ、広がり、深さを「T」、原発がんの領域リンパ節転移の状況を「N」,他の臓器への遠隔転移状況を「M」として区分し、それらの組み合わせを総合し臨床的病期(ステージ)を判定し、それを元に治療を実施します。手術を実施した場合は摘出組織の病理学的検査を実施し、病理学的な病期を求め手術後の継続治療に役立てています。(10件未満は非表示となっています。)
【解説】
 当院は高知県指定の「がん診療連携推進病院」として多部位の「がん」に対し、日本がん治療学会で定められている「がん診療ガイドライン」に沿った標準治療を実施しています。治療に先立ち、患者さん個々の進行状態を正確に判定することが重要で、臨床医は診断に必要な検査説明を行った後に各種検査を実施し総合的な「臨床病期(ステ-ジ)」を決定しています。その後、病状説明を行い、年齢や身体状況を考慮した治療を提案し患者さん合意の元に実施しています。治療は手術療法を中心に、薬物療法や放射線治療等を組み合わせた「集学的な治療」を行っています。近年外科治療はロボット手術が広く行われ保険適応部位も増えており、低侵襲性で合併症のリスクが少ないことから当院でも広く実施されています。また薬物療法も分子標的治療薬を各部位の「がん」に使用し、よい治療成績を得ています。当院は県内の多くの医療機関から多数の患者さんを紹介いただいており、国が地域医療機関の信頼性の指標としている「紹介率70%」をほぼ経年的に満たしており、地域での信頼性が高いことを示しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 25 9.16 54.20歳
中等症 145 16.30 76.08歳
重症 54 22.43 84.09歳
超重症 16 27.13 84.31歳
不明 - - -
【定義】
 肺炎は、発症する環境によって、3つに分類することができます。日常生活を送っている方が発症する「市中肺炎」、介護施設や療養施設内で発症する「医療・介護関連肺炎」、そして病院内で発生する「院内肺炎」です。この指標は、市中肺炎で入院した15歳以上の患者について、「A-DROPスコア」と呼ばれる重症度分類を用い、下記の重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を示したものです。
軽症:スコア0点 中等症:1~2点 重症:3点 超重症:4~5点(ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症とする)
不明:重症度分類の各因子が1つでも不明な場合
(10件未満は非表示としています。)
【解説】
 成人市中肺炎の患者数は中等症が145名(平均年齢76.08歳)と最も多く、全体の半数以上を占めています。令和6年度は全体の患者数が増加し、令和3年度以降減少傾向であった超重症の患者数も増加しています。
 平均在院日数は、軽症から超重症まで前年と比べ平均4.2日長くなっています。軽症から重症になるほど平均年齢が高くなるとともに在院日数も延びています。
 当院は救命救急センターをを併設しており、高齢者肺炎の救急搬送が多く、特に慢性呼吸器疾患の患者は繰返し肺炎に罹患する可能性があります。高齢で合併症を有する肺炎は重症化の危険性も高くなります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 170 18.60 77.87歳 58.99%
その他 - - - -
【定義】
 脳梗塞の病型別の患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を示しています。病名は、DPCの「最も医療資源を投入した傷病名」のICD10コードがI63$である症例で、発症日から「3日以内」「その他」に分けた数値を集計しています。
 ※ICD10:International Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の略称で、世界保健機関(WHO)が世界保健機関憲章に基づき作成した、傷病に関する分類です。現在は、第10回修正版(ICD10)が採択されています。
【解説】
 救命救急センターである当院では、脳梗塞患者のほとんどが発症3日以内の急性期脳梗塞患者となっています。
 急性期脳梗塞では、血管が完全に詰まる前に血流を回復させることで、症状が劇的に改善する可能性があります。治療としては、発症後4.5時間以内であれば、血栓溶解薬(t-PA)静脈注射によって血液の流れを早期に回復させ、脳を障害から救う治療法が確立されおり、24時間、365日対応可能です。 またカテーテルを閉塞している血管まで挿入し、血栓を回収・除去することで脳血流を再開させる「血栓回収療法」も積極的に行っており、24時間、365日対応しています。
多くの症例では、入院当日からリハビリテーションを開始し、社会復帰・自宅退院を目指しています。また高知中央・高幡・安芸医療圏の脳卒中地域連携の会を構築し、「脳卒中地域連携パス」を用いたスムーズな転院ができるよう取り組んでいます。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 129 2.92 9.41 18.60% 80.94歳 ERCP・EST
K6871 内視鏡的乳頭切開術 乳頭括約筋切開のみのもの 83 2.00 7.66 13.25% 78.69歳 ERCP・EST
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 44 0.52 6.55 2.27% 75.70歳 内視鏡的胃粘膜下層剥離術(ESD)
K6531 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍粘膜切除術 39 0.36 7.15 0.00% 75.74歳 内視鏡的胃粘膜切除術(EMR)
K6535 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 その他のポリープ・粘膜切除術 39 0.41 3.46 2.56% 69.72歳 内視鏡的胃粘膜切除術(EMR)
【定義】
 各診療科別に手術件数上位5位の術式について、Kコード、名称、患者数、平均術前日数、平均術後日数、転院率、平均年齢を掲載しています。
 (10件未満については非表示としています。)
【解説】
 内科の手術は、循環器内科のカテーテル手術、消化器内科の内視鏡手術が多くを占めますが、6年度は全て内視鏡手術が上位を占めています。
 1位から2位は、胆のう・胆道領域の手術となります。ERCPやEUSなどで診断を行い、内視鏡的ステント挿入や胆管結石の摘出などを行っています。3位から5位は、胃、十二指腸領域の手術となります。早期悪性腫瘍粘膜切除術、早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術は、早期の胃がんに対する内視鏡手術です。当院では、拡大内視鏡を用いることで、がん組織の境界線を判断し、過不足なく精密にがん組織の切除を行っております。
 6年度、上位にはありませんが、循環器内科においても、経皮的冠動脈ステント留置術などの手術を実施しております。特に発症12時間以内の急性心筋梗塞に対しては、来院からバルーンカテーテルによる再灌流を90分以内に得ることが予後の改善に重要とされ、当院でも対応できるよう診療体制の維持に努めております。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 105 1.06 4.69 8.57% 66.67歳 腹腔鏡下胆嚢摘出術
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 61 1.00 8.39 0.00% 67.30歳 乳房部分切除術
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 56 1.00 2.04 0.00% 70.43歳 腹腔鏡下ソケイヘルニア修復術
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 33 0.36 3.18 0.00% 44.97歳 虫垂切除術
K655-23 腹腔鏡下胃切除術 悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 32 2.06 7.31 12.50% 72.16歳 腹腔鏡下幽門側胃切除術
【解説】
 外科では、低侵襲の腹腔鏡や胸腔鏡による手術を積極的に行っています。現在、内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」の施設基準の届出は、胃がん、直腸がん、肺がんについて受理されており、保険適用となっています。
 令和6年度は、1位「腹腔鏡下胆嚢摘出術」、2位「乳腺悪性腫瘍手術」、3位「腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術」、4位「腹腔鏡下虫垂切除術」、5位「腹腔鏡下胃切除術」でした。2位の乳腺悪性腫瘍手術」以外はすべて腹腔鏡下の手術となっており、患者さんの体への負担が少ない術式が多くなっています。
 悪性腫瘍の治療には「手術」、「化学療法」、「放射線治療」があり、より効果の期待できる治療方法を総合的に判断し、診療ガイドラインに基づいた標準治療を行っています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 164 3.04 15.93 79.88% 80.27歳 大腿骨骨接合術
K0821 人工関節置換術 肩、股、膝 136 1.01 18.07 70.59% 74.42歳 (TKA)人工膝関節全置換術
(THA)人工股関節全置換術
K0811 人工骨頭挿入術 肩、股 115 3.55 17.36 91.30% 83.22歳 (BHP)大腿骨人工骨頭挿入術
K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 80 2.20 9.70 43.75% 66.75歳
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 椎弓切除 53 1.55 14.00 24.53% 71.74歳 腰椎椎弓切除術
【解説】
 当院は、救命救急センターでの急性期医療に力を入れており骨折手術が多くを占めています。
 1位の骨折観血的手術の手術部位は、大腿骨骨折が最も多くを占めています。
 2位の人工関節置換術は変形性関節症に対する関節内手術で、膝関節が最も多く、膝関節の置換術では人工関節手術支援ロボット「ROSA Knee(ロザ・ニー)システム」を高知県で初めて導入し、低侵襲で合併症リスクの少ない手術を目指しています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2191 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法 14 0.00 2.07 0.00% 67.93歳
K013-21 全層植皮術 25c㎡未満 13 2.31 5.00 0.00% 58.46歳
K0081 腋臭症手術 皮弁法 10 0.50 2.10 0.00% 24.00歳
K0872 断端形成術(骨形成を要するもの) その他 - - - - -
K427 頬骨骨折観血的整復術 - - - - -
【解説】
 形成外科では眼瞼下垂症手術、全層植皮術、腋臭症手術が取り扱い数の上位手術となっています。その他、四肢の断端形成術、皮膚の良性及び悪性腫瘍の手術、頬骨骨折観血的整復術、乳房再建手術も多く行っています。(10件未満については非表示としています。)
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K178-4 経皮的脳血栓回収術 42 0.00 22.69 80.95% 83.69歳
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 19 0.11 8.89 21.05% 78.68歳 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術
K164-5 内視鏡下脳内血腫除去術 13 3.08 43.92 100% 71.08歳
K1781 脳血管内手術 1箇所 11 5.55 13.27 36.36% 69.09歳
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 - - - - -
【解説】
 1位は脳梗塞に対してカテーテルを使用し、閉塞している血管内の血栓を回収して、血流を再開させる緊急手術です。2位は外傷による慢性硬膜下血腫に対しての血腫除去術です。3位は頭蓋内の出血により脳を圧迫している血腫を、内視鏡を使用して除去する手術です。4位はくも膜下出血や未破裂脳動脈瘤に対する手術で、脳動脈瘤の破裂予防や止血のために、血管の中にカテーテルを通して脳動脈瘤の中をコイルで詰める(塞栓する)手術です。5位は頚動脈狭窄症に対するカテーテルによる治療です。(10件未満は非表示としています。)
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5606 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの) - - - - - 腹部大動脈瘤人工血管置換術
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術 2吻合以上のもの - - - - - 冠動脈バイパス術
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの) 2吻合以上のもの - - - - - 冠動脈バイパス術
K5603ニ 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術 その他のもの - - - - -
K5612ロ ステントグラフト内挿術 1以外の場合 腹部大動脈 - - - - - ステントグラフト内挿術(EVAR)
【解説】
 手術件数では、ステントグラフト内挿術を含む腹部大動脈瘤手術が最も多く、次いで冠動脈バイパス術とステントグラフト内挿術を含む胸部大動脈手術が続きました。弁膜症手術は上位5位までに入らず、減少していました。これについては、弁膜症の多くを占める大動脈弁狭窄症に対して、カテーテル治療(TAVI)の適応が拡大し、同手術が施行出来る他施設に症例が集まっている結果と推定されます。(10件未満については非表示としています。)
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 43 5.56 5.19 0.00% 32.81歳 帝王切開術
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 34 1.03 3.00 0.00% 42.91歳 婦人科腹腔鏡手術
K867 子宮頸部(腟部)切除術 27 1.00 1.04 0.00% 42.96歳 円錐切除術
K8721 子宮筋腫摘出(核出)術 腹式 18 1.94 6.22 0.00% 37.33歳 婦人科開腹術
K8981 帝王切開術 緊急帝王切開 18 4.94 6.22 0.00% 30.56歳 帝王切開術
【解説】
 令和6年度は産婦人科医師の退職に伴い、分娩件数が前年度実績の半数以下、また、その他の症例数も全体的に減少しています。 
 令和6年度の手術実績は、1位が「帝王切開術(選択帝王切開)」で、2位は「子宮附属器腫瘍摘出術(両側)腹腔鏡によるもの」、3位は「子宮頸部(腟部)切除術」、4位「子宮筋腫摘出(核出)術 腹式」となっています。「帝王切開 緊急帝王切開」は前年度2位の実績数でしたが、分娩受入体制の変化に伴い5位となっています。 
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 63 1.00 5.81 0.00% 24.37歳 両口蓋扁桃摘出術
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型(汎副鼻腔手術) 30 1.00 5.63 0.00% 58.57歳 全麻内視鏡下鼻内手術
K3932 喉頭腫瘍摘出術 直達鏡によるもの 28 1.00 1.00 0.00% 67.11歳 喉頭微細鏡手術
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅲ型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 26 0.96 5.35 0.00% 51.15歳 全麻内視鏡下鼻内手術
K4571 耳下腺腫瘍摘出術 耳下腺浅葉摘出術 13 1.00 5.92 0.00% 56.69歳
【解説】
 耳鼻咽喉科では、慢性扁桃炎・睡眠時無呼吸症候群に対して行う口蓋扁桃手術、慢性副鼻腔炎に対して行う内視鏡下副鼻腔手術、直達鏡による喉頭腫瘍摘出術、耳下腺・顎下腺腫瘍摘出術が上位手術です。頭頸部腫瘍、鼻副鼻腔腫瘍に対する手術治療、中耳炎手術なども行なっています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 90 0.59 4.94 18.89% 78.58歳 尿管ステント留置術
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 38 1.13 5.13 2.63% 76.05歳 経尿道的膀胱腫瘍切除術
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 25 1.00 3.20 4.00% 65.40歳 経尿道的尿路結石除去術
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 17 1.00 8.82 0.00% 68.88歳 RARP(ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術)
K773-51 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 原発病巣が7センチメートル以下のもの - - - - - 腹腔鏡下腎手術
【解説】
 経尿道的ステント留置術は昨年に続いて1位であり、昨年比で15件の減少となりました。2位の膀胱悪性腫瘍に対する経尿道的手術も昨年比11件の減少となっております。3位は経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの、前立腺悪性腫瘍に対するロボット手術は4位、5位は腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの)となっています。
 平均在院日数は、1位の経尿道的ステント留置術の平均術後日数がやや延びていますが、2位膀胱悪性腫瘍に対する経尿道的手術、4位前立腺悪性腫瘍に対するロボット手術の平均術後日数は短縮しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 105 1.25%
異なる 41 0.49%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 26 0.31%
異なる - -
【定義】
 医療資源を最も投入した傷病名のうち、「播種性血管内凝固症候群」、「敗血症」、「その他の真菌感染症」、「手術・処置等の合併症」について、入院契機病名(入院し治療する必要があると判断する根拠となった傷病名)と同一か否かで集計しています。
 発生率(%)は、各集計項目ごとの患者数/全退院患者数で算出しています。
【解説】
 播種性血管内凝固症候群は、小さな血栓が全身の細い血管内に多発し、血管を詰まらせる病気です。ゆるやかに進行する場合は、主として静脈の血栓塞栓性疾患を引き起こします。また、症状が重く進行が速い場合は、出血の抑制に必要な血小板と凝固因子を使い果たし出血を引き起こします。その他の真菌症も含め、当院では10件未満の症例のため非表示としています。
 敗血症は、感染に起因する全身症状を伴った症候と定義され、糖尿病や血液疾患などの持病がある人に起こるケースが多く、未熟児や高齢者、手術を受けたばかりの人も起こりやすいとされています。当院では救命救急センターを併設しており、重症症例を常時受け入れています。そのため、敗血症の緊急入院数は5年度の症例の約81.1%から6年度は症例の約71.9%と前年度比較では割合が減少していますが、大半が緊急入院となっています。敗血症症例数は5年度と比較し、入院契機が同一、異なる共に増えています。また、入院契機となる病名が敗血症と異なる場合でも、その病名は尿路感染症や急性腎盂腎炎など、感染に起因する病名が多い傾向にあります。
 手術・処置等による合併症とは、術後の出血、縫合不全、感染症などが該当します。合併症を起こさないように細心の注意を払っていますが、合併症が起きた場合には、患者さんへの十分な説明の後、早期に手術や処置を行い重症化予防に努めています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
1340 1278 95.37%
【定義】
 リスクレベル「中」以上の手術が施行された退院患者に対して、肺血栓塞栓症の予防対策が実施された患者数の割合を示しています。リスクレベル「中」以上の手術は「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版)」(日本循環器学会等)に準じて抽出しています。
【解説】
 肺血栓塞栓症はエコノミー症候群ともいわれ、特に下肢の静脈血栓が流れて肺の血管に詰まることで呼吸困難や胸痛を引き起こし、死に至ることもある疾患です。寝たきりの方や手術後に発症することが多く、弾性ストッキングの着用や間歇的空気圧迫装置、抗凝固薬の投与など適切な予防対策が必要となります。本指標では、ガイドライン上、肺血栓塞栓症を引き起こすリスクが「中」以上の手術を受けた患者に対する、予防対策の実施割合を測定しています。
 令和6年度の実施率は95.37%となっています。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
2840 2351 82.78%
【定義】
 血液培養オーダー日数に対して、血液培養オーダーが1日に2件以上ある日数の割合を示しています。入院および外来のオーダーをもとに算出しています。
【解説】
 血液は通常無菌状態に保たれていますが、感染が起こった場所から血液内へ病原体が侵入すると、病原体が全身に広がり、菌血症や敗血症という重篤な感染症となります。それを防ぐためには、感染症に罹患したら、速やかに病原体を特定した治療に効果的な抗菌薬を選択する必要があります。血液内の病原体の有無を調べることを「血液培養検査」といいます。
 病原体は血液中にばらついて存在することがあり、血液培養検査1セットの検査では原因菌を特定すること(検出感度)が限られてしまいます。血液培養検査を2セット施行した場合の検出感度は、1セットの場合と比べて約30%近くその検出率は向上すると言われており、血液培養検査実施時は2セット以上採取することが世界的なスタンダードとなっています。本指標は、適切な感染症治療が行われているかを評価する上で重要な指標となります。
 令和6年度の実施率は、82.78%となっています。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
926 856 92.44%
【定義】
広域スペクトルの抗菌薬が処方された退院患者数に対して、入院日以降抗菌薬処方日までの間に細菌培養同定検査が実施された患者数の割合を示しています。広域スペクトルの抗菌薬とは、次に記載する一般名の抗菌薬です。
ピペラシリン、テビペネムピボキシル、メロペネム水和物、ビアペネム、ドリペネム、イミペネム・シラスタチンナトリウム、パニペネム・ベタミプロン、タゾバクタム、セフタジジム水和物、セフピロム硫酸塩、セフェピム塩酸塩水和物、セフォゾプラン塩酸塩
 【解説】
 血液は通常無菌状態に保たれていますが、感染が起こった場所から血液内へ病原体が侵入すると、病原体が全身に広がり、菌血症や敗血症という重篤な感染症となります。それを防ぐためには、感染症に罹患したら、速やかに病原体を特定した治療に効果的な抗菌薬を選択する必要があります。血液内の病原体の有無を調べることを「血液培養検査」といいます。
血液培養検査を実施せずに、むやみに広域抗菌薬を使用すると耐性菌の蔓延や細菌の耐性化を助長する可能性があります。本指標は適正な抗菌薬の使用状況を評価する指標となります。
 令和6年度の実施率は、92.44%となっています。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
94125 170 1.81‰
【定義】
 退院患者の在院日数の総和に占める退院患者に発生した転倒・転落件数の割合を示しています(単位=‰ パーミル)。
【解説】
 入院患者の転倒・転落は、患者が自立的に活動される限り、完全に防ぎきれるものではありませんが、骨折や内出血などをきたすことがあり、「発生率」を少しでも減らすために努力を続けています。要因としては、環境の変化や疾患、治療、手術などに起因するものなど様々です。これらの要因に対し、インシデント報告を分析し、環境の整備や患者の行動を予測し、未然防止につなげることが重要です。当院では、『事故(転倒・転落、チューブ類抜去)防止のための安全対策手順』を作成し、転倒・転落発生防止に努めています。
 令和6年度の発生率は、1.81‰となっています。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
- - -
【定義】
 退院患者の在院日数の総和に対する、退院患者に発生したインシデント影響度分類3b以上の転倒・転落の発生件数の割合を示しています(単位=‰ パーミル)。インシデント影響度分類3b以上とは、「損傷レベル分類4」と「損傷レベル5」に該当します。
 損傷レベル4:手術、ギプス、牽引、骨折を招いた・必要なかった神経損傷・身体内部の損傷のため診察が必要となった
 損傷レベル5:転倒による損傷の結果、患者が死亡した
【解説】
 入院患者の転倒・転落は、患者が自立的に活動される限り、完全に防ぎきれるものではありませんが、骨折や内出血などをきたすことがあり、影響度の高い転倒・転落の「発生率」を集計し、転倒しても被害をゼロに近づけるための取り組みが重要です。当院では、『事故(転倒・転落、チューブ類抜去)防止のための安全対策手順』を作成し、転倒・転落発生防止に努めています。また、事例分析結果を共有し、転倒・転落発生リスクの軽減に務めています。
 令和6年度の発生は、10件未満のため「-」表示となっており、良好な結果であったといえます。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
2042 2018 98.82%
【定義】
 全身麻酔で予防的抗菌薬が投与された手術件数に対する、手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が投与開始された手術件数の割合を示しています。
【解説】
 予防的抗菌薬投与とは、現在細菌感染を起こしていないが、手術後の感染をできるだけ防ぐために、抗生物質をあらかじめ投与することです。開胸、開腹を伴う手術等は、手術開始直前に抗菌薬を点滴などで投与することにより、手術後の感染を抑えることが期待できます。
 当院では、院内感染マニュアルを作成し、SSI(手術部位感染)の予防に取り組んでいます。
 令和6年度の手術開始前1時間以内の投与率はは98.82%となっています。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
91236 42 0.05%
【定義】
 退院患者の在院日数の総和に対する、d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡の発生患者数の割合を示しています。
【解説】
 褥瘡の発生は、患者の生活の質(QOL)を低下させる要因となり、在院日数の長期化や医療費の増大につながります。患者の栄養状態等によっては褥瘡が発生しやすい状況もあります。褥瘡予防対策は、提供されるべき医療の重要な項目であり、栄養管理、ケアの質評価にかかわります。当院では『褥瘡対策手順』を作成、また、「褥瘡対策チーム」を設置し、計画に基づいた適切な褥瘡予防対策を実施して発生率の低下、重症化予防に努めています。
 令和6年度のd2(真皮までの損傷)以上の発生率は、0.05%となっています。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
5195 4309 82.95%
【定義】
 65歳以上の退院患者数に対する,入院後45時間以内に栄養アセスメントが実施された患者数の割合を示しています。
【解説】
 早期に低栄養リスクを評価し、適切な介入をおこなうことは、在院日数の短縮や予後改善につながります。当院では、管理栄養士ごとに担当する病棟を決め、病棟担当制で入院患者の栄養管理を行っています。
 令和6年度、65歳以上の患者に対する入院早期(48時間以内)の栄養アセスメント実施率は、82.95%となっています。土・日・祝日の緊急入院患者に対して48時間以内に栄養アセスメントが行えなかった場合でも、病棟担当制で栄養管理を行うことで患者の病状を早期に把握し、的確な栄養管理を実践しています。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
94125 15512 16.48%
【定義】
 退院患者の在院日数の総和に対する、身体的拘束日数の総和の割合を示しています。
【解説】
 身体的拘束は、制限の程度が強く、また、二次的な身体的障害を生じさせる可能性もあるため、代替方法が見出されるまでの間やむを得ない処置として行われる行動の制限であり、できる限り早期に他の方法に切り替えるよう努めなければなりません。当院では、『医療安全に関するマニュアル』のなかで、「身体拘束最小化のための指針」を定めています。また、実施手順として「身体拘束マニュアル」を作成し、マニュアルの遵守に努めています。
 令和6年度、身体的拘束の実施率は16.48%となっています。
更新履歴
2025/09/29
医療機関にお決DPCデータの質向上を目的として、病院指標7項目を集計し公開しています。また、医療の質向上を目的として、令和5年度の3項目に6項目の指標を追加し、令和6年度は9項目の医療の質指標を計測し公開しています。