摂食・嚥下ワーキング

 キーワードは「くう、ねる、あそぶ。」そんな宣伝文句がテレビで流れてたのはいつのことだったでしょうか。
 「くう、ねる、あそぶ。」文字通り、人間の根源的な欲求を表した言葉です。その一番最初の言葉が「くう」です。人間にとって口から食べることは生きていく上で必要なことであり、非常な楽しみでもあります。
 食べるという動作は健康な人にとっては全く意識することなく行われています。しかし、そのメカニズムは複雑で、目で見たり鼻でにおいをかいだりして食物を認識し、口を開けて手を使って食物を口に入れ、顎や歯で食物をかみ砕き、舌が食物を口の後方まで運び、のどが収縮しながら食物を食道の入り口まで送り込み、食道がぱっくり開いて更に食物を下方に移動させる、という具合です。
 その間で食物が、息をする通路である鼻や気管に間違って入らないように実に巧妙な仕組みがあります。不幸なことに脳の病気や、年齢、腫瘍などによって、これらのメカニズムのどこかひとつでも障害されると、うまく食べられなくなります。この、うまく食べられない状態を 摂食嚥下障害といいます。いちど摂食嚥下障害を来すと、うまく食べるのは大変です。しかし、摂食嚥下障害の患者様が再び食べられるようになれば、それだけで大きな喜びを得、生活の質が向上し、更に元の病気の回復まで期待できるのではないかと我々ワーキングは考えています。

高知赤十字病院 耳鼻科医師 宮崎 かつし

主な活動内容・活動の特色

 【摂食機能療法について】
当院では、平成18年より摂食嚥下療法に積極的に取り組んでいます。
おもに、入院患者様に対して摂食嚥下療法を行っています。摂食・嚥下機能障害のある患者様は、脳血管障害、肺炎、神経筋疾患、頭頚部癌、大手術後、多発外傷後など様々な疾患をお持ちです。
 まず、摂食・嚥下障害の可能性のある患者様の状態を評価します。そのまま唾液を飲み込んでいただいたり、少量の水を飲み込んでいただく簡易法や、内視鏡下嚥下機能検査を行います。これはベッドから動けない患者様にも行うことができるもので、ゼリーや色のついた水を飲んでいただき、その結果をもとに、経口摂取ができるかを決定します。経口摂取が可能な方には、状態に応じた食形態や食事時の体位を決定します。
 経口摂取が困難な方に対しては、食物を用いない嚥下訓練を行い、摂食・嚥下機能の改善をめざします。

 【活動内容】
 ワーキンググループは、「どのような障害があっても、最後まで人としての尊厳を守り、あきらめないで口から食べる」ことを大切にしています。その仲間は、耳鼻科医師、摂食・嚥下障害看護認定看護師、脳卒中看護認定看護師、看護師、セラピスト、栄養士、薬剤師、放射線技師、事務職員、メディカルソーシャルワーカーなどで構成されており、嚥下に問題を抱えている患者様やそのご家族に対し、メンバー全員で協働しながら、安全においしく口から食べることができるように支援しています。

 口には@呼吸するA食べるB話すという三つの大切な機能があります。この「口」の機能が加齢や疾患により低下しないように、入院前の生活にできるだけ近づける事ができるようにすることを目的としています。急性期からの口腔内の清潔と、機能回復のために効果的なケアを提供できるように、摂食・嚥下機能訓練を行うとともに、知識・技術の向上に励んでいます。

<安全に食べるための基本>
 @しっかり目覚め、安定した姿勢を保つ
 A口腔内の清潔と保湿を保つ
 B機能にあった食事の提供

⇒3つの基本が守れないと⇒⇒⇒口が汚くなる・うまく呼吸をすることができなくなる・食欲が 出ない・姿勢が悪く食べにくい、等の状態になってしまいます。
 このような状態から肺炎や脱水、低栄養にならないように急性期からのケアが必要です。

各スタッフの活動紹介

@看護師

 私たち看護師は、加齢や疾病により摂食・嚥下機能に障害をもつ患者様に対して、安全に美味しく口から食べる事ができるように、そして食べることの喜びを取り戻していただきたいという思いを込め、急性期から口腔内の清潔と、摂食・嚥下機能の回復に取り組んでいます。

Aリハビリテーション(理学療法士、作業療法士)

 より良い呼吸を行うための訓練(呼吸法の指導)や、食事をとりやすい姿勢(ポジショニング)、頚や手足の関節の機能を維持出来る様に、患者様一人一人の 状態に応じたリハビリテーションを医師、看護師と協力して行っています。
 入院後早くから関節を動かしたり、筋力を強めたりすることで、患者様に少しでも口から食事を摂って頂けるように努めています。

B薬剤師

 薬剤師としての専門性を活かし、薬物療法の視点からチームに関わり情報提供を行っています。
 嚥下障害がある患者様にはお薬の服用方法の指導を行っています。お薬によっては主治医と相談して飲みやすい薬や剤型に変更することができる場合もあります。
 お薬の服用方法などでお困りのことや、疑問点がある患者様には、お気軽に薬剤師に相談してください。外来患者様は「お薬渡し口」で薬剤師に声をかけてください。入院患者様は担当看護師を通じて薬剤師に知らせてください。

C栄養課(管理栄養士)

 入院中の患者様の一番の楽しみは食事ですが高齢化に伴う摂食、嚥下機能の低下や身体的障害を持っている方、病気の方の中には、この楽しみである「食事」が、うまく摂れない方もおいでます。そのような方のために「食べやすいもの、飲み込みやすいもの」を取り入れた食事を提供しています。このような食事を 嚥下食といいます。
 栄養課では「安全で食べやすい食事、患者さんそれぞれに合った内容の嚥下食」を目指し工夫をしています。

一口メモ
※まずは健康なときから口を大切にしましょう!
1.口をきれいにする習慣を付けましょう
2.年齢を重ねても元気な体作りを心がけましょう
3.よく話し、よく笑い、楽しい時間を持ちましょう
4.毎日体操をしましょう

お問い合わせ先

〒780−8562 高知市新本町2丁目13番51号 高知赤十字病院
担当:摂食・嚥下障害看護認定看護師 清水 慶子
TEL:088-822-1201(代表) / FAX:088-822-1056